『64(ロクヨン)英語版』横山秀夫著 Jonathan Lloyd-Davies訳。 長かった。。。
横山秀夫の小説「64(ロクヨン)」が面白いと聞き、図書館の本をネットで予約しました。
本が受け取り可能になったので図書館に行きカウンターで引き渡しをお願いしたら、英語版のペーパーバック(Six Four)が出てきました。。。
。。。どうやら予約のときに間違えてしまったようです。
まあ、そのまま戻すのもどうかと思い、せっかくなので読んでみることにしました。
以下、感想です。
ちなみに「64」は映画版もみたことがなく、予備知識ゼロです。
<以下の記述はネタバレを含みます。>
いや~長かった。
英語版なので長く感じるのかと思いましたが、日本語版も上下巻に分かれて結構な長さなんですね。
途中で何度もくじけそうになりましたが、読み続けることができたのはやはり作者の筆力によるものだと思います。「クライマーズハイ」は読んだことがありますが、同じく展開にグイグイ引きつけられました。
しかし読んでてつらいと思ったのが、日本人の名前がアルファベットになると頭に残りにくいこと。ストーリーにも関係しますが、Mで始まる名前の登場人物がやたら多い。
Mikami, Matsuoka, Minako, Mikumo, Mochizuki, Mesaki, Mutsuko, Meikawaなど
→三上、松岡、美那子、美雲、望月、目崎、睦子、銘川
あとAも多いです。
Arakida, Arakawa, Akikawa, Akama, Azusa
→荒木田、荒川、秋川、赤間、梓
登場人物が増えるたび、 だんだん「コイツ誰だったけ?」という状態になり特にキャラが頭に定着していない前半部分を読んでいたときは苦労しました。巻頭に人物相関図があったのでそれを頼りになんとか読み進めました。
やっぱり漢字って便利ですね。
外国人が読むと苦労するでしょうね。
本作はイギリスやドイツでも評価され賞を取っているようなので、名前の問題はそれほど壁になっていないのかもしれません。
あと、外国人視点で考えると、Showa(昭和)とかHeisei(平成)とか注なしでいきなり書かれているけど分かるのかな。
少なくとも、「14年前の未解決事件」というだけで、本作の通奏低音である「『昭和に置き去りにされたまま』の事件」という感覚は共有できないでしょうね。
まあ、これは大きな問題ではないですが。
ストーリー自体は、前半は長いけれども組織間の争いや東京vs地方の構図などを背景にリアルな群像劇になっていて読み応えがありました。
一方、結末は、なんかそれぞれのエピソードが未解決のまま終わり、ちょっとモヤモヤが残りました。
組織間の争いを描いているまま展開が進まず、ようやく後半の、車に乗り込むところで展開が早くなってきましたが、残りページがわずかになってもそれぞれのエピソードにオチがつかないな、と思ったら最後に簡単に触れてそのまま終わりになりました。
ジャンプのマンガで急遽打ち切りになって最終回で一気に伏線を回収していくことがありますが、それに近い感覚です。
ページ数の制約とかあったのでしょうか。最後の部分はもう少し読みたかったですね。