『なんで、その価格で売れちゃうの?』永井孝尚著 値付けって奥深い。
商品の値付け戦略について、人間の一見合理的でない行動を論理的に解き明かす「行動経済学」に基づいて解説した本。著者はマーケティング戦略コンサルタントとのこと。
値段を上げたらバカ売れした例や値段を下げて失敗した例など、豊富な事例とともに易しくまとめられており、サクッと読み終わりました。
よくある「下取りセール」の意味がずっと分かりませんでしたが、この本でやっと理解しました。モノを持っているのに新たにモノを買う罪悪感というハードルを下げるということなんですね。
それにしても価格戦略は奥が深いですね。価格には売り手が伝えたいメッセージが含まれているということがよく分かります。
本書のなかで、「端数価格効果」というのが出てきます。人間は一番左の数字に注意が行くため左の数字が小さいと割安感を感じるというもので、スーパーの商品の値付けにはよく使われているもの(198円とか)ですが、高級品にこれを使うと逆効果のようです。
私は酒好きなので酒のことを考えてしまうのですが、 確かにデイリーワインであれば900円よりも898円のほうが手に取りやすいですが、高級ワインが3万2764円といったふぞろいな価格だったら、良心的な造り手が利益度外視で原価ギリギリに価格をセットしたのだとしても、不安感を感じます。
それよりも、ちょっと値上げして3万3000円のほうが品質に一定の信頼がおけると思われるでしょう。
一方、デイリーワインだから安ければ安いほどいいかというと、100円のワインがあったら買うのを躊躇します。「安すぎて品質が不安だ」と思うんですね(価格の品質表示機能)。
同じモノを売るのでも価格にどういうメッセージを乗せていくのかが大事ということですね。
・・・しかし何でこの表紙になったんだろう。
これも深いマーケティング戦略に基づいてのものなのでしょうか。